年頭コメント
年頭にあたって
北海道経済連合会 会長
近 藤 龍 夫
「平成24年1月1日」
新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。旧年中は、当会の活動に対し格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、昨年は東日本大震災が発生し、多くのかけがいのない命を奪うと共に、未だにたくさんの被災者の方々が余儀なく避難生活をされるなど甚大な被害をもたらしました。改めて、震災で犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
今回の震災では、東北地域の被害とは比べようもありませんが、北海道も水産業で約320億円の被害にあったほか、国内外からの観光客が激減するなど大きな間接的影響を受けました。年央以降、来道観光客数は持ち直し傾向にありますが、公共事業費が大幅に削減される中で、本道の雇用情勢は依然として厳しく、さらには円高による全国的な下振れの影響などを受け、厳しい情勢が続くことが懸念されています。
このような危機感から、東日本大震災復興への対処の優先により、更に厳しくなる国の財政状況ではありますが、本道にとって、どうしても必要な関連予算が大きく減額されることがないよう、当会では例年にも増して、国に対する予算要望活動に力を入れてまいりました。今後も引き続き、機会を捉えながら効果的な要望活動を続けていきたいと考えております。
厳しい経済情勢を受け、当会では2年ほど前から自立的な内発型産業構造への転換を目指して、北海道に優位性があり、将来の発展が期待される農業・水産業をベースとした食の高付加価値化や、道外・海外への販路拡大や観光・モノづくり等の周辺事業との連携による、北海道ならではの「食の総合産業化」を目指した食クラスター活動をスタートさせました。その結果、現時点では推進母体となる食クラスター連携協議体に参画頂いた企業・生産者数等が1,500を超えるに至っております。
このクラスター活動を更に発展させるため、本年は次の三つの目標達成を目指して取り組んでまいりたいと考えております。1つ目は、強い農業づくりを目指す国の農業政策転換です。貿易自由化への動きが加速し、道内での懸念が高まっており、生産性や品質の向上に努力した生産者が安心して営農ができ、かつ、輸入品との価格競争にも耐えられるような“強い農業づくり”に向け、「主業農家を大切にし、若い農業者にとって魅力ある農業にすること」、「生産性と付加価値を重視すること」などを国に対して引き続き強く求めてまいります。
2つ目は、密閉型実証研究植物工場による新技術創出の促進と実用化です。昨年夏に、国の補助事業の採択を受けて「密閉型実証研究植物工場」の建設に着手しました。この植物工場では、(独)産業技術総合研究所北海道センター等が有する世界最先端の技術を活用し、植物から機能性成分や医薬品等の原料を安価に量産する生産システムの確立を目指していますが、これが実現すると北海道の食関連産業の付加価値を飛躍的に高めることができます。
そして3つ目は、昨年暮れに国に採択された『北海道フードコンプレックス国際戦略総合特区(HFC)』の強力な推進です。当会では北海道、札幌市などと共同で昨年9月に特区指定を国に申請し、関係者の皆様のご尽力により国内7地点の一つに選考していただくことができました。HFCは道内に食の総合研究開発拠点を形成し、東アジアの食市場を視野に入れた食の発信基地を目指す壮大な試みであり、北海道の優位性を活かしつつ、市場ニーズに合った商品開発を進め、川上から川下までの一貫した食のバリューチェーンを構築し、道内食産業の高付加価値化を目指すものです。将来的には、急成長を遂げる東アジア経済圏に位置する北海道で、オランダのフードバレーに匹敵する食の研究開発や輸出拠点を形成し、我が国の食産業の国際競争力の強化に貢献していくという夢のある事業です。関係者の皆様と総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
これらの産業振興策を推進していくためにも、北海道における高速交通ネットワーク網の整備の迅速化を図る必要がありますが、今般、永年の悲願であった新幹線札幌延伸の認可着工の方針が示されたことは大変喜ばしいできことです。これにより、北海道・東北経済圏の一体化が大きく促進されます。この実現にご尽力頂いた関係者の皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。この札幌延伸認可決定を一つのばねとして、北海道における高速道路を始めとする高速交通網の更なる整備促進を国に対して強く求めてまいります。
大震災を契機に見直しが始まった新たな国作りにおいて、我々は、我が北海道が持つ優位性を最大限に活用することによって、日本の中での北海道の役割を大きく躍進させねばなりません。そのためには、待ちの姿勢に留まるのではなく、道民自らが地域独自の取り組みに力を入れ、自分達の力を結集して、北海道の経済発展と雇用創出を実現していかなければなりません。本年はそのための礎となる1年となるよう共に取り組んでまいりましょう。
最後になりますが、本年も当会の活動に対する皆様方のご理解とご協力をお願い申しあげまして、新年のご挨拶とさせていただきます。


