総会コメント

第37回定時総会 ご挨拶

北海道経済連合会 会長

近 藤 龍 夫

「平成23年6月9日」

 

 

 会員の皆様には、業務ご多忙の折、当会の「第37回定時総会」にご出席をいただき誠に有難うございます。併せて、平素より、当会の活動に対しまして、格別のご支援、ご協力を賜り、改めて御礼申し上げます。 また、高橋知事には、公務ご多忙の折にもかかわらず、本総会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。
 さて、この度の東日本大震災による未曾有の大災害は、東北地方を中心に多くの人命を奪うとともに、未だに沢山の被災者の方々が避難生活を余儀なくされているなど被災地域に甚大な被害をもたらしました。改めて、亡くなられた方々への哀悼の意を表すると共に、被災者の皆様にお見舞い申し上げる次第でございます。
 この震災により、物流機能の停滞、原材料などの供給網の途絶、電力供給制限、農水産業の生産基盤の喪失などが生じることとなり、全国的に広い分野で生産・販売活動の縮小が余儀なくされております。さらには福島原発からの放射能の漏えいにより、「日本のどこもが、また、日本製品全てが危険」との風評被害が海外まで及んでおり、特に食と観光面における影響は大きく、我が国の広い範囲で日常生活から産業全般にまで揺るがす事態となっております。 北海道では道東を中心に水産業への直接被害に加えて、今後、国の震災復興への優先投資に伴い、本道への公共投資が益々減少し、社会資本整備の遅れなど産業基盤の維持・構築に対する影響が懸念されております。
 現在、政府においては、この国難と言うべき事態に直面するなか、被災地支援に総力を挙げて取り組んでおりますが、当会としても、震災直後から北海道及び会員企業の皆様と連携し、支援活動を行ってまいりました。特に、会員企業の皆様には、被災地に対するご支援をお願いしたところ、多くの会員企業並びに社員の皆様から義援金や支援物資等のご提供をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
 震災の復旧、復興に向けた対応につきましては、当会では4月11日に国、道、道内選出国会議員並びに経団連等に対して、国全体の生産基盤の再構築、被災者受け入れの環境整備、農水産品の安定供給の確保など5項目について提言しました。今後、その具体化について、適宜、国、道と連携し取り組んでまいります。
 今回の震災では、あらゆる面で一極集中している首都圏の脆弱性が明らかになりました。首都圏やその近隣に本社や工場を立地している企業は、事業リスク分散の観点から本社機能や生産設備の分散立地を検討していると聞いております。北海道は地震、台風、気温などの点で優位な地域特性を有しており、道外企業の受け皿としての諸条件を満たすことが十分可能であります。そうした北海道の優位性をあらためて整理した上で、その特性に適した業種や分野を絞り込み、トップセールスも含めた企業誘致活動を強化してまいりたいと考えております。このことによって、本道の産業構造自体の高度化に資すると共に、首都圏の産業集積リスクの分散にも貢献できるものと考えております。
 さて、当会の昨年度の活動実績と本年度の事業計画の主だったところをご紹介致しますと、食クラスター活動による「食の総合産業化」に向けた取り組みにつきましては、推進母体となる食クラスター連携協議体、これはすでに950機関が参画中でありますが、その本部を当会が担うとともに、ノーステック財団や道立総合研究機構を始めとした支援機関による事業者への支援体制も整備され、現在、商品開発や道内外に向けた販路開拓支援が着実にスタートしております。具体的活動としては、支援部隊が一次生産者、加工メーカー、研究機関、流通業界、自治体などに足を運んだ結果、現在、170件程度の商品化や販売促進の案件がとりあげられており、これらに精力的に取り組んでいるところであります。 取り組み事例を申しますと、すでに有望なものとして、研究機関と共同開発したにもかかわらず、企業の中に埋もれていた優れた食素材を、道外の大手菓子メーカーや外食企業に繋いで量産販売の検討に入った事例がございます。また、類似の素材を使った複数地域の取り組みを、ブランドキャラクターを用いてまとめて売り出した結果、メーカーからの引き合いが増え、新商品開発に繋がった事例など、少しずつではありますが、具体的な成果が見え始めています。
 今年度は、道内に埋もれている優れた食素材を幾つか選んで、道外や海外の市場に売り込んでいく活動を強化していきたいと考えております。 海外への販売促進につきましては、モデル事業の実施などを計画しており、アンテナショップの開設についても道と共同で検討しております。一方、町村会の皆さんも、地域の持つ一次産品の付加価値向上に積極的に取り組むとの目標を掲げて活動を開始していただいたところです。
 さらに、食クラスター活動を加速させるための重点活動として、数点ご説明します。まず一つ目ですが、「食の総合産業化」の基盤となる農業政策への関わりとして、国における「食に関する将来ビジョン検討会」や「食と農林漁業の再生実現会議」への参画・提言により、現状の「すべての農業者を守る」政策から「強い農業作り」を目指した政策への転換の必要性を訴えてまいりました。今後も機会を捉えて国に対して農政に対する提言を行ってまいりたいと考えております。
 二つめは、医薬品原料等を従来の化学合成とは異なる植物栽培により生産するもので、これは世界最先端の植物工場の建設プロジェクトでありますが、これによりワクチンなどの医薬品原料等を安価に量産するということを目指しております。現在、国の助成を申請し、審査中ではありますが、これが実現すると北海道の食関連産業の付加価値を飛躍的に高めることができると確信しております。
 三つめとしまして、札幌市など4市と共同で北海道フードコンプレックス(HFC)国際戦略総合特区構想を国に共同提案しました。このプロジェクトは、特区指定により規制緩和、税制優遇、そして、国の優先的支援が適用されることにより、道内に我が国の食の総合研究開発拠点を形成しようというものです。現時点では、いろいろな種類のものが、全国から100件程度、総合特区として提案されております。採択されるのは3~4件と言われておりますが、少なくとも私どもは、この「食」に関する拠点だけは他に持っていかれたくないという一心で、実現に向けて努力しているところです。
 以上、目指すところへの道のりは大変厳しいものがありますが、関係者の知識・知恵・過去の蓄積を総動員し、そして何よりも熱意を持って取り組むことで、目標に向かって着実に前進させていきたいと考えております。最終的には、北海道ならではの食と観光を融合した食の総合産業化を本格的なものとし、これまでの公的支出依存型の産業構造から脱却し、自ら価値を創造してこれを外に向かって打ち出していく内発型産業構造への転換を期待するものであります。また、こうした努力とその成果の積み重ねは、自立的な地域社会の形成の力となり、その結集が北海道経済の自立的発展をもたらすものと確信しております。
 次に社会資本整備の促進についてですが、本州に大きく遅れをとっている高速交通ネットワークの構築、即ち、新幹線の札幌延伸と高速道路の整備については、期待通りの進展に至っていないのが現状です。そして、今回の震災により国費は震災復興に優先的に投入されることが必至な状況にあることから、北海道への影響が懸念されるところであります。しかしながら、引き続き、新幹線や高速道路の整備促進の具体化に向け、国への要望を粘り強く行ってまいります。
 最後になりますが、北海道経済はもとより、我が国経済全般にわたり、今後しばらくは何かにつけて震災の影響を大きく受けることを覚悟せざるを得ませんが、当会としては引き続き、北海道経済の活性化に向けて精力的に取り組んでまいります。
 本日は、平成22年度の事業報告、および平成23年度事業計画などをご審議いただきます。会員の皆様方には、ぜひともご忌憚のない活発なご討議をお願いいたしまして、挨拶とさせていただきます。