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第49回定時総会 会長開会ご挨拶


第49回定時総会 会長開会ご挨拶 

2023年 6月6日
                                      北海道経済連合会
                                      会長 真弓 明彦

 第49回定時総会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、ご多用の中、多くの会員の皆様にご出席を賜り、誠に有難うございます。そして、皆様には平素より当会の活動にご理解とご協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。
 また、本日は、ご来賓として鈴木直道知事にご臨席いただきました。鈴木知事には、ご公務で大変お忙しい中、ご臨席賜り、光栄に存じますとともに、深く感謝申し上げます。

 本定時総会につきましては、2022年度の事業報告と収支決算、2023年度の事業計画と収支予算、そして役員の選任についてお諮りをいたします。各議題に対する真摯なご議論、円滑な議事進行へのご協力をお願い申し上げます。

 さて、長きにわたるコロナ禍により、甚大なダメージを受け続けてきた道内経済でありますが、国や道による継続的な経済対策支援を受ける中、行動制限の緩和や、感染症法上の分類変更により、様々なイベントが再開され、国内外の観光客をはじめとした人流の戻りも見られるなど、今後のさらなる回復も期待されるところであります。
 一方で、先行きの見通せないエネルギー価格や物価の高騰、価格転嫁の難しさや人手不足という課題も重なり、幅広い業種で大きな影響を受け続けております。厳しい経営環境下にある事業者の皆様をお支えするため、これまで同様に、政府・与党や北海道に対して、現場実態を踏まえた効果的な施策の実行展開を、引き続き強く訴えていかなければならないと考えております。

 このように困難な状況が続く北海道でありますが、DXやGX、ゼロカーボン北海道、食料・エネルギー安全保障の強化、そして次世代半導体拠点Rapidus㈱の千歳市での立地決定など、北海道の将来を大きく変え得る動きやチャンスが生じてきております。
 加えて、明るい話題といたしましては、本年3月には北海道ボールパークが開業し、9月にはアドベンチャートラベルの世界大会が道内で開催されます。このような新たなプロジェクトや世界的なイベントを大いに活かしながら、北海道の魅力を国内外に発信し、北海道のブランド力を高めつつ、道内経済の回復と活性化を図っていくことも重要であります。

 冷涼な気候で、豊かな自然と広大な土地を有し、食料基地でもある北海道は、再生可能エネルギーの賦存量も全国随一であるなど、国内外に誇れるポテンシャルや強みを数多く有しており、大変魅力のある地域でもあります。
 足元で生じております北海道の将来を大きく変え得るチャンスを逃がさずに、北海道の明るい未来を創り上げるため、そして、数多くのポテンシャルを最大限に活かし、様々な課題解決を図り、我が国に貢献していくためには、産学官の力を結集し「オール北海道」で取り組むことが重要であり、北海道が果たすべき役割と責任は、極めて大きくなってきていると受け止めなくてはなりません。

 今年度は、ただいま申し上げました道内経済の現状や考え方を踏まえ、事業計画に7つの重点項目を掲げることといたしました。後ほど審議事項の第3号議案として事務局からご説明いたしますが、私の方からのポイントについてご説明申し上げます。

 最初に、「次世代半導体産業の集積に向けた取り組み」であります。
 Rapidus㈱は国家プロジェクトとしての位置付けですが、その投資規模や関連産業の立地誘発、道内企業の取引拡大などを鑑みますと、まさに千載一遇のチャンス。北海道に産業構造の転換をもたらし、新たな基幹産業と雇用機会の創出が強く期待されるところであります。一方で、極めて早いスピードで事業が進められますので、Rapidus㈱および半導体関連産業の円滑な立地支援、半導体人材の確保・育成、そして道内企業の活用促進に、産学官が一丸となって、全力で取り組んでいかなければなりません。当会では道内経済界・産業界の力を結集し、立地に関わる様々な課題解決や道内企業の参画に資するべく、新たな法人組織であります「(仮称)一般社団法人北海道新産業創造機構」を7月目途に、その新法人を事務局とし、課題解決に向けた取り組みとフォローアップを行う「次世代半導体産業プラットフォーム」を6月中に立ち上げることとし、現在、準備を進めているところであります。体制の強化充実を図りながら、円滑な事業推進を支援してまいります。

 2点目は、「ゼロカーボン北海道の推進」であります。
 本年2月に閣議決定されました「GX実現に向けた基本方針」において、エネルギーの安定供給や脱炭素の実現に向けた方策などが示されましたが、先ほど申し上げました通り、再生可能エネルギーの賦存量が全国随一の北海道は、我が国のエネルギー安全保障や脱炭素に貢献できる地域であります。当会といたしましても、引き続き「脱炭素と地域経済の好循環」を念頭に自治体や道内外企業に対する支援、エネルギー利活用や資源循環など、ゼロカーボン北海道の推進に向けた活動に精力的に取り組んでまいります。

 3点目は、北海道の基幹産業である「食」と「観光」に関する取り組みであります。
 食に関しましては、食料自給率の向上に資するべく、農業団体などとも連携し、直面する労働力不足の克服や、生産性向上に寄与する「スマート農業」の導入促進、生産と消費拡大に向けた方策などの検討を進めてまいります。観光分野に関しましては、需要回復に向けた施策を進めるとともに、体験型・滞在型観光である「アドベンチャートラベル」の推進に取り組んでまいります。あわせて、「スポーツアイランド北海道」を新たな柱とすべく、トップアスリート育成を目指す冬季版のハイパフォーマンススポーツセンター設置や、国内外のスポーツ大会、合宿の誘致に向けた取り組みなどを進めてまいります。

 4点目、成長産業として期待でき、裾野の広い「宇宙産業」につきましては、大樹町のスペースポート整備事業の支援を継続するとともに、「宇宙産業の6次産業化」、宇宙産業の北海道集積を目指したアクションプランを策定し、その実行を図ってまいります。

 5点目、将来の北海道を担う「人材の育成と確保」につきましては、いわゆるデジタル人材、食産業分野などで活躍する専門人材、次世代の経営人材などの育成に、産学官連携のもとで取り組んでまいります。また、若者、特に女性の道外転出が多いという状況を鑑み、道内への定着、道外からのUIJターンの推進も進めてまいります。

 最後に、他府県に比べ見劣りする「社会資本整備」につきましては、地域の人流・物流を支えるとともに、巨大地震や津波などの激甚災害に対するレジリエンス強化の観点からも、迅速かつ確実な推進が極めて重要と考えており、引き続き強く要望してまいります。

 以上、2023年度の事業計画のポイントにつきまして縷々申し上げました。一昨年6月、「2050北海道ビジョン」を公表いたしましたが、マイルストーンとした2030年には、「稼ぐ力が大きく向上」、「デジタルの活用によって地域づくりや新産業創出が進展」、「多くの企業やチャレンジ人材が集積し、我が国の脱炭素にも大きく貢献」、このような姿をお示ししたところであります。大きなチャンスが到来している今、この姿の実現に向けて、事業計画の推進にあたりましては、「オール北海道の力を結集」し、「スピード感を持ちながら」、「成功事例を積み重ねていく」ことを意識して進めてまいりたいと考えております。

 会員の皆様はもとより、ご臨席いただきました鈴木知事をはじめ、行政機関の皆様、道内外の企業や、経済・産業団体、大学、研究機関など、関係する多くの皆様との結束をより強固なものとし、北海道の明るい未来を創り上げてまいりたいと考えております。
 皆様には当会の事業活動につきまして、引き続きご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 結びになりますが、本日の審議につきまして、会員の皆様の忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

以上