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2021年頭 会長ご挨拶


年頭にあたって

北海道経済連合会
会長 真弓 明彦

 新年を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
 旧年中は、当会の事業活動に対し、格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスが世界規模で蔓延し、日本のみならず世界経済が、現在に至るまで大きな打撃を受け続けております。

 北海道は、感染拡大が国内の他地域よりも1か月早く始まり、その影響が最も長期化かつ深刻化している地域であり、これまで道内経済をけん引してきた「観光」と「食」を中心に、幅広い業種でかつて経験したことのない大きな打撃を受け、未だその出口が見えない状況にあります。
 事業者の皆様の声を聞きますと、国や北海道の様々な支援策により、何とか足元を支えられているのが実態であり、収束まで長期化が想定される中、施策の打ち切りや縮減に対する不安の声も上がってきております。また、昨年10月下旬以降、道内の新規感染者数が急増し、現在も予断を許さない状況にあり、経済への影響が更に広がってきております。
 引き続き、政府・与党や北海道などに、感染拡大防止と経済活動の両立、雇用維持に向けた「切れ目のない対策」について、あらゆる機会を通じて強く要望して参ります。

 一方、ウィズコロナの長期化により、「密から疎」、すなわち「集中から分散」や、「東京一極集中の是正」などの機運が高まっております。昨年9月に誕生した菅政権におきましても、「デジタル社会の実現」、「活力ある地方を創る」、「新たな人の流れをつくる」などを掲げ、様々な政策を展開しているところであります。
 自然豊かで開放的な「恵まれた疎」を持つ北海道にとっては、企業移転や移住、ワーケーションなど、企業や人を北海道に呼び込む絶好の機会が訪れております。
 このチャンスを活かし、「国内外から選ばれる北海道」を目指して、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、企業誘致活動、魅力的で安全・安心な地域づくりや北海道の魅力の磨き上げとその発信などに、時機を逸することなく取り組んでいかなければなりません。

 また、アフターコロナを見据え、全国よりも早いスピードで進展している人口減少がもたらす、この先の労働力不足・後継者不足の一層の深刻化や、経済の大幅な縮小といった諸課題を解決し、道内経済の持続的発展につなげていくための取り組み、すなわち「稼ぐ力を高めること」を目指した取り組みを、より一層加速させていくことが必要であります。
 具体的には、以下の取り組みを中心に、本年も精力的に事業活動を推進していきたいと考えております。 

 まず、「観光」分野では、昨年7月、先住民族アイヌの文化復興拠点である国立の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が道南の白老町で開業いたしました。今夏には、北海道・北東北縄文遺跡群の世界文化遺産登録も期待され、決定すると縄文からアイヌへの歴史探訪ルートが実現いたします。また、本年は、東京五輪のマラソン・競歩等の札幌開催に加えて、アジアで初めて、体験型観光「アドベンチャートラベル」の世界大会であるワールドサミットが北海道で開催されます。各プロジェクトの成功はもとより、これらが相乗効果を発揮することでインバウンド拡大などに結び付けられるよう、取り組んでいきます。

 また、「食」分野では、国の食料供給基地である北海道が、将来に亘り食料の安定供給に貢献していくため、農業現場や食品製造業における、デジタル技術を活用した省人化・省力化など生産性向上に向けた取り組みを推し進めます。菅政権は輸出目標2025年2兆円、2030年5兆円の達成を掲げております。アジア圏を中心に支持が高い「北海道ブランド」の優位性を活かし、道産品の輸出拡大に積極的に取り組み、政府の目標達成にも貢献したいと考えております。

 さらに、DXの加速を大きなチャンスと捉え、広域分散、積雪寒冷といった北海道の地域特性に合ったSociety5.0の早期実現と、デジタル人材の確保・育成を目指し、昨年7月、「Society5.0ワーキンググループ」を立ち上げました。2050年の「望ましい北海道の姿」を議論し、それに向けて、今から何を為すべきかを検討しており、2021年度以降の事業計画に反映させ、着実に実行に移していきます。また、北海道における新産業として有望な宇宙関連分野では、本年、大樹町において産業集積の起点となるスペースポート整備事業が開始されます。当会として、この事業への支援はもとより、企業誘致や研究開発拠点づくりなどを推し進め、宇宙関連産業の集積を目指します。

 本年は、会員の皆様や関係事業者の皆様のご意見を伺うことはもとより、道内外の他の経済団体や大学・研究機関、行政などとの連携をより一層深めながら、「early small success」の考え方のもと、スピード感をもって各事業活動を推し進め、成功事例や実績を積み重ねて参ります。
 引き続き当会の事業活動に対するご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。