2025年頭 会長ご挨拶
2025年1月6日
年頭にあたって
北海道経済連合会
会長 藤井 裕
新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当会の事業活動に対し、格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
また、昨年発生しました能登半島の地震および豪雨により被災された皆さまへ、謹んでお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈りいたします。
さて、昨年の政治・経済は、バブル期につけた日経平均株価の最高値の更新や、日銀のマイナス金利解除、衆院選での与党過半数割れなど、大きな変化があった一年でした。また、働き方改革関連法による「2024年問題」の表面化や、北海道新幹線札幌延伸の開業延期の発表、記録的な円安、25年ぶりの「食料・農業・農村基本法」の改正、日高山脈襟裳十勝国立公園の新規指定など、喜ばしい出来事とともに、北海道の成長・発展にとって先行き懸念が顕在化した一年でもありました。
そのようななか、当会は12月に創立50周年を迎えました。1974年の設立趣意書には、「経済社会の国際化が進展し、わが国経済の取り巻く環境が一段と厳しさを増しているなかで、(中略)広大な大地、豊かな水、その他の資源に恵まれている北海道は、全国的にみても環境保全重視の視点に立って、産業経済の秩序ある発展を図り得る殆ど唯一の地域といっても過言ではなく、その点からも北海道が今後果たすべき役割は極めて大きいものがある。」と記されています。これは現在も何ら変わりがなく、北海道がもつ数多くのポテンシャルを存分に活かし、今こそ結実させ、国内外の課題解決・成長に貢献することが、北海道の使命であると捉えています。
この使命を果たすべく、当会が2025年に重点的に取り組む主なトピックをご紹介いたします。
昨年6月、北海道と札幌市がGX金融・資産運用特区に、北海道が国家戦略特区に指定されました。現在、「Team Sapporo-Hokkaido」が中心となり、豊富な再エネを最大限に活用した北海道全域でのGX産業集積と、これを支える札幌エリアでの金融機能の強化・集積を進めているところです。当会もその一員として具体的な取り組みに参画していきます。
また、千歳市で建設工事が進むラピダス社の次世代半導体工場は、本年4月にいよいよパイロットラインが稼働し、再来年には量産化が予定されています。製造する2ナノメートル半導体やチップレット技術は、半導体産業の成長のみならず、わが国の経済安全保障にも大いに貢献すると期待されており、当会や北海道新産業創造機構(ANIC)を含む産学官金のオール北海道で、引き続き強力に支援してまいります。
加えて、冷涼な気候や豊富な再エネポテンシャルを有する北海道は、データセンターの適地であり、現在、道内各地で複数のデータセンターの建設・計画が進められています。
当会では、これら半導体やデータセンターなどデジタル関連産業の集積を通じ、「北海道バレー構想」の実現に取り組んでいきます。また、農林水産業や観光業のスマート化の推進、さらには大樹町で進む宇宙開発の6次産業化などの動きと連動を図ることで、北海道が従来からもつ強みの伸長、新たな産業の集積・ビジネスの創出につなげることが重要と捉えています。経済効果が道内のあらゆる地域や業種に格差なく及ぶよう、取り組みを進めてまいります。
こうした取り組みを進めるうえで、北海道における人口減少・人材不足は看過できない重大な問題です。北海道の人口はピーク時の1997年から約60万人減少し、昨年、510万人を切りました。今後も全国を上回るスピードで減少が進み、2040年に432万人、2050年には382万人にまで減少すると予測されています。あらゆる業種において深刻な人材不足が見込まれますので、女性・シニア・外国人など多様な人材が安心して働くことのできる制度や環境整備について、関係当局と連携して進めてまいります。
また、道内の地域公共交通は、運転手不足に加えて燃料費高騰などの問題もあり、路線廃止や減便が進むなど厳しい状況にあります。道内各地域が「生産空間」としての機能を発揮し、北海道が観光立国の実現をけん引していくためには、交通機能の維持はもとより利便性向上が必要不可欠です。当会では現在、多様な交通モードをフィジカル・デジタル双方で適切につなぎ、地域住民や観光客が北海道全域を安心して移動できる仕組みづくりに取り組んでおり、実装に向けて着実に進めてまいります。
本年の干支は乙巳(きのとみ)です。「乙」は困難があっても前進・成長していくとの意味があり、巳(ヘビ)は脱皮を繰り返して成長することから、生命力や再生の象徴と言われています。北海道は、まさに「変化と成長」の変革期にあります。次世代半導体工場の立地を契機とした産業基盤の強化を確実に定着させつつ、食、観光、再エネなど北海道がもつ強みを遺憾なく発揮し、世界に貢献する先進地域となりたいものです。当会も50周年を一つの節目とし、次なる50年の新たな成長に向け、まず2025年は、政府が掲げる「地方創生2.0」を念頭に、上述のトピックなどにしっかりと取り組んでまいります。
会員の皆さまの本年のご健勝とご繁栄を祈念し、当会の事業活動に対する引き続きのご理解とご協力をお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。